【スポーツ群像】
柔道の男子60キロ級で五輪を3連覇した野村忠宏(35)=ミキハウス=が、今夏にも実戦復帰する。北京五輪の代表選考会で敗れ、五輪4連覇の夢が絶たれてから2年。「もう1度、強い自分を取り戻す」と気負い込み、柔道人生で最後のスタートラインに立とうとしている。右ひざの手術、過酷なリハビリ、度重なる故障、強化指定から外れる屈辱。それらの風雪に折れることなく現役であり続けようとしていること自体が、すでに驚嘆すべき、そして称賛すべき事実なのだが…。(森田景史)
[フォト]柔道五輪3連覇の野村のその他の写真 野村が放つ磁力は相変わらず強い。6月8日に奈良・天理大で公開された男子日本代表の強化合宿。足を運んだ報道陣の本音は、3カ月後に「世界」を迎え撃つ代表組見たさというよりも、野村見たさではなかったか。野村が動けば報道陣の視線もつられて動く。野村の影が伸びる先にはカメラマンの姿…。
学生相手の乱取りは、進退が自在で、繰り出す技にもよどみがない。はた目には往事と変わらぬ“強い野村”−と見えた。「そのへんが天才なんですよ」。天理大の先輩後輩という気の置けない間柄がそうさせるのか、日本男子の篠原信一監督は野村に温かい。しかし、練習後の汗をぬぐう野村の横顔に差したのは不満と不安の影だったよう。
「いいときは技がバスバス決まるのに、調子が乗らないとレベルも低い。いいときと悪いときの差が激しくて…」
口元には以前より深くなった笑いじわ。60キロ級の“大樹”も年相応に年輪を刻んできたことが分かる。
この2年間は、野村の体内時計がめまぐるしく動いた期間といえる。北京五輪の代表選考会に敗れたのが2008年4月。直後に、断裂した右ひざ前十字靱帯(じんたい)の再建手術を受け、激痛と鈍痛に顔をゆがめた約1年のリハビリを経て、翌09年5月に復帰会見。曲折はさらに続く。復帰戦となった同10月のワールドカップ(W杯)バクー大会で初戦敗退。その前後に、左ひざと股(こ)関節を続けて痛め、11月の講道館杯全日本選抜体重別選手権を欠場した。それを機に、全日本柔道連盟の強化指定からも外れている。
にもかかわらず、野村に対する報道陣の傾斜ぶりはどうだろう。歴戦を経て培ったブランドの信用。何かを変えてくれそうな期待感のうずき。60キロ級に漂う閉塞(へいそく)感と、それを打破してくれる英雄の待望論。それらのすべてに説明をつける答えは、やはり「野村忠宏」というキーワードに落ち着く。
練習後に報道陣に取り囲まれた野村は、右手首に施した分厚いテーピングをヒラヒラと示し、あけすけといっていいほど率直に吐露した。「最近は原因が分からんのに、痛いというのがある。そのへんに年齢を感じるかな」「趣味で(柔道を)やってるわけじゃない。結果を残さないと」「不安も恐怖もある。でも、そういう経験ができるのは今しかない」
国際柔道連盟(IJF)が09年1月に導入したランキング制は、柔道選手に“勤続”を求めるようになった。五輪までの直前の2年間の成績を点数化。主要大会で精勤し、高得点を積み上げた者だけに五輪への門戸は開かれる。「痛い」「かゆい」と口にする者、“欠勤”の多い者は門前払いされ、代表選考会だけに照準を合わせるやり方も、もはや通じない。
野村が60キロ級を留守にした期間、後進は刻苦勉励といえるほどに無理を重ね、試合に出続けてきた。今年5月には、わずか2週間のうちにアフリカから南米へと超人的な転戦をした選手もいる。「周りの動きを見ていると、正直、落ち込むよね」。野村がこれから向き合おうとする敵は、自身にしのびよる“老い”の足音だけとはかぎらない。移動して試合、また移動して試合。文字通り骨身を削る作業を繰り返し、それに耐え得る心身を全柔連の上層部に提示しなければ、代表選考のまな板にも乗れない。
野村を孤独にさせるのは、道なき道の歩み方を学ぶモチーフがないこと。五輪を3連覇し、なお傷だらけの体で4度目の高みを目指す。しかも2年前の決定的な挫折を1度はさんで。「そんな経験をした人はいないし、具体的にアドバイスしてくれる人もいない」。35歳になった体の許容量は、明らかに20代とは違う。むやみに若手と同じ質量の追い込みをかけても、2倍3倍の疲労となって跳ね返ってくるだけ。体の経年変化とどう折り合いをつけるか、その答えは日々の歩みの中にしか落ちていない。そんな辛さもある。
だが、野村忠宏はやはり野村忠宏だった。「誰かを頼りたい気持ちはある」と吐露しながらも、続けた言葉は「誰かが歩いた道なら、やめてたかもしれんね」。武士は食わねど高楊枝(ようじ)。野村の中に流れる血の色を、これほど鮮やかに映し出す言葉もない。
実戦復帰は7月か8月のW杯と見込まれる。「講道館杯までに2試合は出したい」と篠原監督。9月の世界選手権後にもう1試合はさんで、講道館杯に出場というのが想定されるプラン。戦績しだいで“旬の人”となる可能性もあれば“過去の人”となる恐れもある。だが、復帰時期がずれ込めばずれ込むほど五輪は遠のく。馬の背を渡るような勝負の連続になるとしても、野村は腹をくくっているに違いない。
以下、再び野村の率直な胸の内を。
「柔道は今しかできない。最後の時間なんでね、現役としての」「勝たなきゃ必要とされない。そのへんの厳しさは分かってる」「常に引退は意識する。というか限界を。だから与えられたチャンスは大事にしたい。一戦一戦が最後という覚悟で」
次の実戦復帰は、間違いなく最後のリスタートになる。道なき道を歩く孤影は、ロンドンまで伸びるのか…。
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posted by labyrinth at 16:00|
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